大切な本75「増補新版 生きのびるための犯罪(みち)」  

依存は生きのびるための杖
むちむち 2024.11.02
誰でも

名古屋市精神保健センター「ここらぼ」が毎年開催している「アディクション・セッション」に行ってきた。アルコール、薬物、ギャンブル、万引きなど様々な依存症当事者や家族、彼らの回復にかかわる人たちのお話をただただ聞きまくる一日。

登壇される方皆が話し上手なわけではないけれど(「こんなに大勢の人の前で話すのは初めて」「緊張してます」と話される方も複数おられた)、お一人お一人の語る言葉の重みよ。

人生の長い時間をかけてしんどい現実に向き合ってこられたこと、いま回復の歩みを続けていること、こうして発信する力を持たれていることへ敬服の気持ちが募る一日だった。

マックや断酒会、ダルクなど全国各地で活動している団体はさまざまあれど、特に女性の依存症回復支援の現場では、上岡陽江さんの名前を抜きに語れない。

ティーンむけに書かれた「生きのびるための犯罪(みち)」(今年出た増補新版も必読!)、このタイトルがまず多くを語っている。

最近やっと少しずつ、依存症は病気であることや回復できるものだということが社会に周知されつつあるけれど、まだまだ厳罰化をのぞむ声もやまない。

時には必要な嘘もある、なんて言われるけれど、生きるために犯罪に手を染めざるを得なかった、支援につながらなかったばかりに犯罪を繰り返すほかなかった人たちに厳罰を与え続けても何もよい方向には向かわない。そこに必要なものは何か?

「ハームリダクション」も世界では広まりつつあるという。これからも考え続けたい。

上岡陽江さんは大嶋栄子さん、熊谷晋一郎さん、信田さよ子さんなど魅力的な方との共著が多く、どの著作もするめのような読みごたえ。雑誌への寄稿なども見逃さないようチェックしています。

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