大切な本74「母が重くてたまらない 墓守娘の嘆き」
斎藤学先生とともに嗜癖問題に取り組んでおられたことからそのお名前を知ったのだったか、彼女の著書は(手に入るものは)もれなく目を通してきた。世間的にもいちばんインパクトの強かった「母重」シリーズ(勝手に命名)、当時自分も絶賛母との関係性に苦しんでいたから、「母親が重いとかしんどいって言っていいんだ!」とまさに蒙を啓かれる思いがしたものだ。
ご講演を聴きに行ったことはあれど直接彼女のカウンセリングを受けたことはない。けれど、著書を読むことでもやもやした気持ちの原因に辿り着けたり、言語化されることで絡まった糸がほぐれるような「解決」へ導かれたりと、彼女のことばには何度となく救われてきた。
松本俊彦さんにも感じることだけれど、本業(診察や面接など)や多くの業務を抱えながら、一般向けの文章をこれだけのスピード感で書かれることには敬意しか感じない。そのタフさ、私も見習いたい…
上野千鶴子さん、上間陽子さんをはじめ魅力的な顔ぶれとの対談や共著も多く、「アディクション」「暴力」「家族」「加害者」「共依存」…彼女がとりあげるキーワードはいずれも私自身にも密接しているものばかりだから、どの作品も見逃せない。
近年ご講演に足を運ぶ機会が重なり、ユーモアも交えつつ淀みのないそのお話ぶりにも惹き込まれた。「快刀乱麻」ということばがぴったりくるようなご講演、また機会があれば聴きに行きたい。
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